物語 - 器作りについての物語

間鍋竹士写真

土から器作りをするということ

「私がもし料理人なら、出来る限り地元の食材で料理を作りたい。」

私の作陶に対する気持ちは、これにとても近いです。
土を形にし、器にするのが器作りなら、私は「土」から始めたい。

だけど、この「土」を選び、器にするという作業は、想像以上の苦難を伴います。
山を探し、土を探し、かたっぱしから器にしていきます。
膨大な数の器が生まれる中、器として必要な要件を満たす土はほんの一握り。
こんな苦難を伴いますから、私の知っている限り
「土」から器を作る陶芸家の方というのは珍しい存在だと思います。

それでも「土」から始めることにこだわるのは、
青年海外協力隊でアフリカのエチオピアという国での
経験の影響かもしれません。
自給自足で狩りに、失敗すればその日の食事を取れないような、
生の「生」を目の当たりにした経験が
私の器作りにも息づいているように思います。

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米作り

私が米作りをはじめたのは、器作りの原料となる「藁の灰」が欲しいと思ったのがきっかけでした。
エチオピアでの経験から影響を得た、
何事も原点から関わっていきたいという思いにも沿う米作りでしたが、
出来不出来が気候やその他の条件に大きく影響される、
とても大変な作業でした。

しかし、米作りを続けるうちに、今まで気づけなかった思いに気づいたり、
新鮮な考えにたどり着くことが出来ました。

農家のみなさんの米作りに対する思い、米作りの苦労。
自分の生きる糧の「食」というものの原点に関わることの意味。
化学肥料に関する考え、態度。

結局「藁の灰」は足りませんでいたが、
「米」ありきの「器」という視点を得ることができました。

自然が基本にあって
自然に感謝し
自然の残る環境を守るために
環境に良い米作りを

そこに収まるべき「米」があるから「器」がある。
そんな当たり前のことを、米作りに携わることで気づくことが出来ました。

文明社会においてすべて完璧にを環境に良いものをと言うのは難しいですが、
可能な限り環境に良い物を。
そういう視点が私の器作りにも色濃く影響を及ぼしています。

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さまざまな釉薬原料の調達

器作りの原料となる釉薬原料ですが、
現在では簡単に購入して手に入れることができます。

それでも私の器づくりは原料づくりから始まります。
今では当たり前になっていることも一度やってみよう
理由がわかるから本当の理解ができる
ここにもまた、エチオピアでの生活の影響が残っています。

器作りに必要な釉薬についても一から作っています。
釉薬の原料となる石や灰を、
木々をかき分け山に登り、さまざまな場所で採取します。
採取した原料から1個1個試してみることで、
さまざまな面白い釉薬が作られます。

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とても大変な作業ですが、
これによって自分にしか使えない釉薬、自分色の釉薬が出来上がります。

当たり前のように加工された釉薬をそのまま使うのではなく、
実際の苦労を経験することで、
便利な文明社会においては忘れてしまいがちな、
ものの作り手の苦労、ものに込められた思いに気づくことができます。

無味無機質な物質の塊ではない、
さまざまな思いやりや気持ちのこもった豊かな器作り。
私の器作りの目指す器作りの形です。

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ローカル原料+器

「山口県の土の器」は、すべて地元山口県の土や釉薬を使用しております。
陶芸に適した「ブランド土」は一切使用せず、
県内の山々に足を運び、土、石、鉱物を捜し求め、
様々な土をブレンドしながら、その作品に合うものを配分する、
器作りの原点そのものが私の器作りです。

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歴史とともに層になって積み重なっていく土は、
地域や歴史を物語るような特徴を持っています。

地元の材料を大切に使うことで生まれる
1つ1つの器の歴史や特徴をお楽しみ頂ければ、幸せます。

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